2016年に始まった神戸市と500 Startupsが連携する「500 KOBE」プログラムは、これまで神戸で開催してきましたが、コロナウイルスが流行している中で開催する今年のプログラムは「コロナウイルス感染拡大で浮かび上がる社会課題」のソリューション開発に焦点を当て、オンラインプログラムとして実施します。開催期間は9月7日から10月30日までです。
The show must go on
コロナウイルスの感染拡大 によって様々な社会課題が浮かび上がり、世界中で渡航制限が続く中、神戸市の久元喜造市長は「500 KOBE」をオンラインで開催することを決断しました。
「これまでのプログラム参加企業から、神戸市でビジネスを始める企業が出てきていることを大変喜ばしく感じています。今回、新型コロナウイルス感染拡大による危機に直面し、多くの苦難がありますが、この機会を前向きにとらえ、新たな事業を展開していきたい。」(久元市長)
最近の神戸市の新しい取り組みの一つとして、神戸市内の病院では、コロナウイルスのPCR検査用にメディカロイド社の医療用ロボットを導入する予定です。健康分野におけるイノベーションは神戸の強みの一つであり、「500 KOBE」とも連携を強めてきました。
Pioneering health tech
1995年の阪神・淡路大震災では、神戸市を中心に4,571人の命が奪われ、神戸市全域に壊滅的な被害をもたらしましたが、その後、神戸市は独自の取り組みにより、復興を遂げました。
この復興の象徴の一つがポートアイランドです。1998年以来、この人工島には、約370の企業、大学、専門病院、研究機関が集まり、1万人以上の従業員を擁するライフサイエンス・クラスターである神戸医療産業都市(KBIC)があります。最近では、KBICが保有するスーパーコンピュータ「富嶽」が世界最速の栄冠に輝いたことでも話題となりました。
これら医療分野との連携を狙いに、昨年の「500 KOBE」ではヘルステックに特化したプログラムを実施しました。
「シードステージのスタートアップとライフサイエンスクラスターやその専門家を結びつけることで、良いコラボレーションやイノベーションが生まれると考え、2019年に第4回目となる「500 KOBE」はヘルスケア分野に焦点を当てることにしました」 (神戸市広報官 多名部重則)
A global perspective
「500 KOBE」プログラムのユニークな点の一つは、世界中のスタートアップに門戸を開いていることです。日本でのビジネスに興味のある企業は大歓迎ですが、それは必須条件ではありません。通常、地方自治体の支援を受けているプログラムでは、参加者がその地域に本社を置くことや、オフィスを構えることを求めますが、「500 KOBE」ではそのような条件を設けていません。シリコンバレーには世界中からスタートアップが集まり、多くのノウハウやサポートを受け、資金を調達し、その後は地域に戻ってビジネスを成長させていくという仕組みがあります。神戸もそのようなハブになって、プレイヤーをサポートしていきたいと考えています。
2015年に久元市長がシリコンバレーを訪問した際、500 Startupsの幹部と面会する機会がありました。当時、神戸には「KOBE GLOBAL STARTUP GATEWAY(KGSG)」という日本初の地方自治体が運営する小規模なアクセラレーターがありましたが、神戸市は500 Startupsとのパートナーシップにより、さらに活発なスタートアップエコシステム構築が可能だという認識を得ました。ちょうどその頃、500 Startupsのエコシステムチームは、世界で最も活発なVCの一つとしての経験を活かして、世界中の企業にイノベーションサービスを提供し始めていました。
その後、500 Startupsと神戸市は、2016年7月に第1回の「500 KOBE」をスタートさせました。以来、これまでに4回開催された「500 KOBE」では、800件以上の応募の中から選ばれた71社のシードステージのスタートアップを支援し、総額110億円を超える資金調達を達成しています。
Adapting to COVID-19
今回のオンライン開催は初の試みとなりますが、現場でのイベント不足をバーチャルネットワーキングで補うことになります。そして、ライフサイエンス機関や専門家とのコラボレーションを希望されるスタートアップには、オンライン上でのマッチングや機会をサポートする予定です。
メディカルビジネスクラスターから新たなスタートアップが生まれ、世界との関わりを持ち、世界中からスタートアップが集まってくることを期待しています。
今年のプログラムの参加者は、営業、グロースマーケティング、資金調達の専門家で構成される500 Startupsのネットワークから、オンラインでの1対1のメンタリングセッションや講義を受けることができます。
「私は、イノベーションの精神と新しいものを創造する能力は、150 年前に神戸が最初に入港した船を歓迎したのと同じような、「好奇心」から生まれると確信しています。第5回目の参加者の皆さまも同じ精神で歓迎します。我々はスタートアップの皆さまがもつ新たなアイデアに非常に関心があり、その「好奇心」が新たなイノベーションを率いていくのだと信じています。」(久元市長)
神戸市は、市域内にある六甲山をスマートシティとスタートアップのための新たなハブにしようとしています。
「神戸市は、東京や大阪ほど人口が密集していないという事実を活かし、すでにポストコロナの世界での地位を確立しつつあります。六甲山はスタートアップやIT企業にとっては絶好のロケーションになるでしょう。森の中にあるこの創造的な空間は、企業間のコミュニケーションを育みながら、社会的距離を保つことができます。コロナウイルスが流行している今の時代に、働きながら生活するのにとても適した環境になると思います。」(久元市長)