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8週間・23人・280+時間

メンターやゲストスピーカーの紹介

Guest Speaker Session

プログラム中に参加するレジデントメンター以外に、スタートアップファウンダーに必要なトピックについて毎回ゲストを迎え、時には講義スタイル、時にはパネルトーク、時にはインタビュー形式などで、ファウンダー達の疑問や悩みに答える。また、メンターによっては、個別相談の時間を設けており、各スタートアップに合わせたアドバイスをもらえる。8週間のプログラムでは、全体を通して23人のゲストスピーカーやメンターが関わり、全体で合計約280時間を過ごしたことになる。今回はその内容について軽く触れていく。

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1週目 Foundations of Growth

 ベルリン在住の若手メンターStephan von Perger氏による講義は、事前課題や事前に録画されたビデオ講座をもとに質疑応答などを実施。VC勤務経験や、自身もスタートアップで成功を納め、数々のプログラムなどでメンタリングしているだけあって、アドバイスも情報もかなり的確で参考になる。8週間の基礎となるこの講義では主にKPIダッシュボードの作成方法と成長実験から、10Kについての理解などを深めた。その後1週間は個別メンタリングにより、各社に合わせた提案や質疑応答が可能に。

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2週目 Marketing and Healthcare

 台湾在住のメンターは生物医学工学の博士号を持つI-Chien Jan氏は、シリアルアントレプレナーかつベンチャーキャピタリスト。講義では、ヘルスケア関連のスタートアップ動向がメイン。台湾での状況なども含めて参考になった。個別メンタリングでは、台湾での競合他社の傾向や、その成功例失敗例に始まり、関連ある企業に関しては紹介してもらえるなどのメリットがあった。

 ブランディングやマーケティングのプロである、ロンドンを中心に活動するメンターMate Kovacs氏による講義はプロダクトとブランドについてからスタート。スタートアップならではのユニークなブランディングについての話から、マーケティングに対するやるべき事などについてカバー。個別メンタリングでは、各社が自社製品やサービスを紹介し、それに合わせたブランディングやマーケティングなどの相談が可能に。

 日本在住ヘルスケア企業CEO、Soichiro Tada氏よるゲストスピーチは、自身のスタートアップ勤務経験が、現在の経営にどの様に役立っているかを含め自身の人生グラフと共に紹介。また、日本のヘルスケア関連の情報は、日本市場はとても魅力的であるものの、そこに入り込むのがいかに困難であるかを知っているファウンダー達にとってとても参考になり、質問も多く出た。その後同社の役員クラスが個別メンタリングに対応。それぞれの企業に合わせた日本の情報や、マーケットを知る良い機会となった。

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3週目 Growth Experiment 

 ヘルスケアパネルと称して、2人のゲストによるトークセッションを実施。台北在住医師でもあり、バイオメディカルアクセラレーターのCEOでもあるDr. Jowy Tani氏と、大手アメリカ企業でクリニカルイノベーショングループなどの支援もし、科学者でもあるスピーカーのセッション。前半は2人から現在取組んでいる内容についての話からスタート。その後メッドテック戦略、各国のスタートアップにおけるコロナ対策の必要性などについてカバー。後半は質疑応答に時間を割き、最後は医療部門の最大の課題についての質問で締めくくられた。各社メンタリングではヘルスケア関連について更に細かい質問に答えてもらう機会を得た。

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4週目 Growth Experiment

 ヘルスケア関連のベンチャーキャピタリストとして長年の経験を持つ、シリコンバレー在住日本人Masashi Kiyomine氏によるレクチャー。デジタルヘルスの景観や投資家の動向についての説明に始まり、過去のデジタルヘルスケア関連の投資先スタートアップビジネスモデルについて、実例を元に解説。日本市場や日本企業とのコラボなどについての情報も得ることができた。

 同じくシリコンバレー在住のヘルスケア関連CEO、Peter Wasowski氏によるセッションは、主に起業家としてのマインドセットが中心。70歳を超えて3度目の起業。レジデントメンターが質問する形式により、なぜ自分が起業するに至ったのかについてスタートしてもらった。何を大切にして今まで活動してきたのかも含め、ファウンダー達にとって自身の人生を振り返る貴重な機会となった。テクニカルな部分のみではなく、メンタル的に何が必要なのか?何が自分を動かすのか。参加者全員が襟を正したり、自信を持ったり、初心に戻って再確認できたのかもしれない。

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5週目 Growth Experiment

 ヘルステック中心の大手VCのインベストメントプリンシパルはシリコンバレー在住。今回は事前にファウンダーから質問を集め、それを元にレジデントメンターがファシリテート。スピーカー自身もスタートアップを設立し、売却した経験もある事から、スタートアップエコシステムを違った角度から見た経験をシェアして欲しいとの質問からスタート。投資家とどの様に対応したらいいかなどについての質問もあり、非常に白熱した。最後はCVCと話す際の注意点などについてカバー。

 今回神戸市のスペシャルゲストとしてお迎えした博士号も持つDr. Masayo Takahashi氏は、自身もスタートアップ創設者兼CEO。日本のヘルスケア関連やヘルスケアスタートアップについての講義からスタート。自身の経歴を元に、いかにしてスタートアップを創設するに至ったかなどについて語った。『絶対に出来る』という信念についての質問に答える形で、後半はボストン在住レジデントメンターの1人でもあるCharu Sharmaによる質疑応答も含めたトークが展開された。ビジネス開発、研究開発、臨床試験のタイムラインについてファウンダーからの質問もあった。今後どの様なスタートアップにしてゆきたいかというビジョンをシェアして頂き、講演は終了。

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6週目 Growth Experiment

 シンガポール在住・日本企業にも勤務経験があるメンターはAI/VR テック、Eコマース 、データに関する専門家Arvind Sethumadhavan氏。 スタートアップに必要な情報が提供された。特にコロナ後における世界についての内容は非常に興味深かった。これを踏まえ、デジタル&データイノベーションによる成長ビジネスモデルについて解説。モデルケースを参照に講義は進んだ。参加ファウンダーからは、大手企業と協業するにあたり、どれ程本気でイノベーションソリューションを求めているかの判断をするかについて質問もあった。個別のメンタリングでは、更に各社に合わせたアドバイスをもらえた。

 シリコンバレー在住のメンターはアメリカ大手企業の商品開発などに関わってきたMaya Kanehara氏。講義時間では各社が2分のピッチを行い、それぞれ後日のメンタリング時間に的確なアドバイスを受ける。プログラム初日に実施したピッチ内容より随分と研ぎ澄まされてきたものの、まだまだ変更の余地はある。CVC勤務経験を元にしたアドバイスは各社にとって非常に参考になり、デモデイへ向けての良い準備期間となった。

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7週目 Sales

 シリコンバレー在住シリアルアントレプレナーでもあり、過去に数社をエグジットさせた経験を持つメンターRobert Neivert氏はセールスについて講義。事前課題を元に各社が答えていく形式でスタートした講義は白熱。各社のセールスに対する答えを読み上げ、それに対してフィードバックをもらう。こうする事で自身でトレーニング出来る様にしていく。セールストークの秘訣についても学び、実際にすぐに使える内容となった。その後の各社メンタリングでは、更に深掘りした質問に対応。

 コペンハーゲン在住のスピーカーLars Vestergaard氏はエンタープライズセールス、コーポレートイノベーション、パートナーシップ戦略などをキーワードに講義。大手アメリカ企業でスタートアップとの協業を手掛けており、この経験を元にアドバイスをもらう。同じくスウェーデン滞在中のシリアルアントレプレナーでもあるレジデントメンターMarcus氏がファシリテート。スタートアップが直面する問題点について、また、LinkedInを利用したネットワークの強化などについてもカバー。勿論各社に合った質疑応答に対応するべく、後日メンタリング予約可能に。

 神戸育ちのレジデントメンターでもあるAjay Chainani氏によるセッションは『価格』について。スタートアップにとって自分達のサービスやプロダクトをいくらにするのか?殆どのスタートアップの価格設定が低いことに言及し、見直しを提案。各社真剣にメモをとる。まだ世に出ていないサービスに対する価値は何であるのか?などについても非常参考になった。

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8週目 Fundraising

 投資家がどの様にスタートアップと関係していくのかを講義したのは、ロンドン在住のメンターCandice Tait氏。ファイナンスの経験やVCでの経験、スタートアップとしてファンドレイズも経験。データルームについての話を皮切りに、データに関する質に関してもカバー。投資家との関係の重要性についても言及。

 1週目に引き続き、ベルリン在住メンターStephan氏による資金調達のレクチャー。コロナの影響で現在はスウェーデン在住のレジデントメンターMarcus Sandberg氏も加わりファシリテート。自身の体験を元に質問をしていく。デモデイでのピッチに盛り込むべき内容も含めて、実用的な講義となった。資金調達のプロセスについて、いかに早く進めていくのか、アーリーステージの資金調達と、その後の調達の違いなど、投資家と話した後に何をするべきかなど、ファウンダー達にとって非常に参考になった。

 最後はノルウェー在住、マーケティングの専門家Sean Percival氏。アクセラレーターに関する著書もある。マーケティング視点を中心に、資金調達についての情報をシェア。投資家に紹介してもらう際に気を付ける事などをシェアした後には、投資家がどの様にスコア付けをしているのかについても説明。ブレイクアウトセッションでは、自社のスコア付けを体験する事で、客観的に状況を把握した。

上記以外にも、ビデオレクチャーを入れるとメンター数は34名、合計約300時間ほど。更に500 Startupsに登録されている世界中にいる400名のメンターと繋がることが出来る(全てのリストがシェアされ、各自で予約することが可能)というメリットは大きい。まさに500 Startups Familyである。リモートではあるものの、こうして世界中から選りすぐられたメンターからの学びによって、かなりの成長が見られた。次回はリモートプログラムにおけるコミュニティー形成などについて紹介したい。

500Kobe 事務局